10月14日の鉄道記念日に東京ステーションホテルへ宿泊をしてきた話を書こうと思う。
この話をするのは3回目で気に入っている証拠。単純な思考のわたしの真意は解りやすい。それにしても3回も飽きずに文章を書くことに我ながら感心する。わたくしにとって東京ステーョンホテルは唯一楽しい空間であり贅沢このうえないことで、鐡道記念日が近づく9月頃から心から待ち遠しい気分になる。
今年も10月14日の鉄道記念日に宿泊をする為に9月某日にPCの鍵盤を打っている。平成26年は東海道新幹線開業50周年・東京駅開業100周年に当たる鐵道にとっては慶賀の年で、こんな思い出の残る季節に東京駅へ泊まりにいかない方が本来の鐡道趣味とは言えない。従って忠実に実践する。
さて、わたくしの性格を知っている読者の諸子・諸君はご存知の通り、同じ客室を指定する。1日とはいえども、わたくしの部屋の替わりなんのだから、そのたびにホテル側の都合で部屋を変えられるのは不服であるし、気分がとても悪い。従って、わたくしは同じ部屋にしてもらうように宿泊予約時に連絡をする。
さて、まずは部屋の3015号室は空いているとのコトを確認する。もちろんこんな時期から電話をする阿保はいないので空いている。とてもよいことである。そう思いながら数日後にHPで東京ステーションホテルの宿泊プランを読んでいる。ふと1文が気になる。
秋の読書のシーズンに合わせ東京ステーションホテルのオリジナルのBOOKカバーとホテル絵柄が入った美しい容器に入ったフレイバーティーのプレゼントが付いたプラン。とても素晴らしい。宿泊代は30,000円で朝食もついている。
いつもの3015号室の宿泊代金は32,000円である。料金は少し高い。もちろん、わたくしの部屋にはプレゼントも無ければ、もちろん朝食も付いていない。
さて2者を選択しなければならない。賢明で通常の精神の持ち主なら前者を選択するだろう。残念ながら賢者で無い私は3015号室を選択しようと思う。しかし、新しいプランも気になる・・・優柔不断のわたくしのなせる業。
そこで一計を案じてみた。10月某日まで予約を入れる事をやめる。もし、3015号室に他人が宿泊するのならば他人とホテルの都合。わたくしは不本意ながら仕方が無く別の部屋にする。これならわたくしの思考の道理が付く。
結果、3015号室は宿泊客がいるそうで、誠に不本意な結果だがオリジナルプランの部屋に変更する結果となった。ただ、部屋だけは2011号室に指定した。これで予約作業は平常通り終了とする。
しかしながら、世の中はそんなに簡単には出来ていない。30,000円で朝食もプレゼントもついている部屋が一流で眺望が良いはずがない。東京駅の丸の内の広場が広々と見える美しい展望の部屋なんて夢みたいなことは現実にありえないのである。
東京ステーションホテルは一流のお客様用のホテルであって、値段も一流なのである。したがって簡単に言えば一番お安い裏側の小部屋である。東京駅の美しい赤レンガの外観の真裏。窓御開ければ中央線の高架下で薄暗く、窓は防音性の開かずの2重窓であり。そして歩廊が見えないように柵がある。お蔭で、ごちゃごちゃと機械が置いてある部分は見えないが空すら一切見えない。
このような部屋では、とても爽やかな気分なはずもない。しかしながら、もちろん承知の上で泊まる。しかも、安い客なので一切文句が言えるはずもない。
10月に入るとすぐ前日になった。前日は体育の日で普通の人はお休み。わたくしは仕事帰りに友人とお茶をしていた。わたくしは自慢げに東京ステーションホテルに宿泊をすることを話した。
「明日は東京駅のステーションホテルに宿泊だよぉ」
「都内に住んで東京都内に・・・わざわざ」
「私の大切な日だから10月14日はそうしているの」
「なにかの記念日? それと誰と行くの?」
「誰ともあう予定もないよぉ」
「そうなんだぁ。」
「じゃぁ何しに?」
お茶を飲みながら二人で意味不明な会話が続くことになった。
10月14日。秋晴れで空が高い。前夜の台風19号が通り過ぎたお蔭で朝から天気が素晴らしい。それでいて少し涼しい風が吹いている。この風が流れ出すと秋を感じるし心から嬉しくなる、わたしくしは秋が好きである。その事を深く知る知人はその様子でわたしの気分が解るらしい。あまり意識はしないがそんな顔をしているらしい。
最寄りの駅で切符を購入して電車を待つ。最近は同じ電車ばかりで面白くはない。さて、電車のドアに寄りかかりながら外を眺めていると、電車の揺れるリズムから新鉄道唱歌のメロディーが頭を駆け巡る「帝都をあとに颯爽と 東海道は特急の 流線一路富士 桜 燕の影も麗らかに」良く考えてみると歌の歌詞と行き先は逆である。電車は浜松町駅を出て左右を見ると新幹線と山手線が並んで東京駅を目指している。私の乗る電車はスピードを一段と落として有楽町を通過し東京駅に近づく。
東京駅の歩廊に降り立つ。とても気分が良い。今回はお客様として東京駅に泊まりに来たのだから。歩廊の階段を降り、丸の内駅舎の南口改札口から外に出る。天気も良いので観光客が写真撮影をしている。台風の後にも関わらず、あくせくと働く労働者諸君達が東京駅の改札を出入りしている。こんな平日にゆっくりホテルで休養するのだから誠に喜ばしい限りである。
本日は東京駅のお客様なのでお行儀よく、赤レンガの美しい東京ステーションホテルの玄関ホールに入ろうとした瞬間、ベルガールが「ご宿泊ですか?」と問うて来たので「はい」と行儀よく答えた。もちろんベルガールはフロントまで荷物を持ってくれる。
フロントでは既に私のデーターがあるので宿泊帳にはサインすればOK。もちろん明日の朝に読む新聞さえフロントに言わなくとも私の趣味を理解しているようで別記の欄に書いてある。さて、今回は初めて泊まる部屋である。ベルガールに案内されて初めて2階の客室へ足を進める。
ベルガールは見覚えがあり
「今回は2階の部屋を御予約ですねぇ」と声をかけてくれた。お金が無いいから安い部屋にしか泊まれないのです・・・と素直に言えない。したがってお澄まし顔で「そうですねぇ」としか答えられないのが恥ずかしい。
さて、案内された2011号室に足を進めて部屋をよく見る。やはり部屋は狭い。
いつも泊まる3015号室が特に大きい部屋だけあって比べれば確かに狭い。それに浴室のミストシャワー室も無い。今回は特に安い客だから文句など一切言えない。
その見返りと言えば聞こえが良いが、たくさんのプレゼントがテーブルに置かれている。白の革製ブックカバーと東京ステーションホテルオリジナル紅茶缶とステッカーなどなど見劣りするものはない。とくにブックカバーは東京ステーションホテルのロゴが綺麗に入っている。宿泊客用の良いプレゼントである。
普通に売っていない物は特に嬉しく感じる。宿泊者限定は嬉しい限りで良いのだけれども、予想通り、2011号室の窓からは景色も空も見えない。鉄格子が見えるのには閉口するしかない。
もう、やるコトすら見つからないので、丸の内を散策することにした。
東京駅丸の内駅舎をよく見ようと思う。身支度を整えて宿泊専用の出口から出る。専用だけあって眩いばかりの豪華さでうっとりする。
そんな気持ちでドアをでると、観光客が無料で写真を撮影しっている。なんとなく宿泊客の立場からすると腹が立つような気分になるが、一流の宿泊客は大目に見るのが礼儀である。
今回は行幸通りから直線的に東京駅を見てみる。行幸通りは拡幅が日本で一番幅が広い国道であるし。ここから見る東京駅丸の駅駅舎は美しい。中央の尖塔が特に見事にみえる。
南北にあるドームも魅力的だが、ココから見ると先頭も実に美しいことがわかる。
後ろを振り返れば行幸通りが宮城へ続き二重橋につながる。街路灯のデザインが実に素晴らしくお洒落で、誠に帝都の大通りの風格。
丸の内駅舎も良く見ると南口駅舎から延びるウイング部分も美しい。この部分も東京ステーションホテルの一部だから楽しい。ここにはレストランなどがあり優雅な時間を求めることができる。
これほど、簡単に何処からも綺麗に撮れる建物も珍しい。さて、もう時間は19時になる。食事は丸ビル内の食堂でお一人様の晩餐とする。20時にはステーションホテルに帰った。
さて、ここからはやることが本当に無い、すこし早いけど髪をときシャワー浴びる。この東京ステーションホテルのアメニティは抜群で石鹸などは香り極上で心地よくなる。とても気分が落ち着いて幸せな気分になる。シャワーからでると、少し厚手の柔らかいバスタオルも完璧で満足できる。
ちょっと暑いのでバスローブに着替えたままベッドに倒れたら、そのまま寝てしまった。
気がついたら深夜の1時。窓を少し開けて柵の隙間からホームを見てみると、まだ山手線が走っている。この時間まで仕事とはご苦労なことで、わたしはカーテンを閉めて再び寝る。シーツが絹のような肌触りで一段と心地が良く感じる。
翌朝7時に目が覚めた。シャワーを浴びて身支度をする。食堂での朝食は9時半に決めたので朝の散歩をしに宮城から日比谷公園へ足を進める。
天気が良く気分すこぶる良い。まだ丸の内は会社員の群れもいない、休日の雰囲気をまだ丸の内を覆っている。公園は秋バラのシーズンで日差しが花を更に美しく見えるのも楽しい。
さて、歩みを元に戻す。部屋に戻り腕時計を見る。わたしは部屋ではTVは見ないせっかくの時間を楽しむ妨げになることは大嫌だあ。まだ時間が15分ある。
そして、再び時計を見ると食事の時間に最適である。食堂は4階にある。また、その場所は東京駅中央の尖塔の屋根部分である。初めて訪れる場所なので楽しみなのは当然だが、それ以上に食事が不安である。
食堂に入ると八重洲口の屋根はガラス製であり、そこから少し荒い光が床に差し込んで美しい。良く磨かれた食器にも反射して輝きを増している。
給仕が私を席に案内する。ここの朝食はブッフェである。
わたくしは朝食には洋食と決めている。パン・アラカルトでプレートに好きなものを並べる。そして、目玉焼きは日本では片面焼きが一般的だけど、私の定番は両面焼いたover-hard egg 。さすが一流の食堂。目の前で焼き方を聞いてくれる。とても満足。ブラボー!!
さて、すべてがテーブルに揃ったところで、給仕が「コーヒーいかがですか」と聞いてくる。わたくしは「ストレートティーでお願いします」と答えると給仕は「畏まりました」とつぶやき、すぐに注いでくれる。
この食堂はとても良い、子供もいなければ、だらしない格好の者もいない。誠に静かで整然としている。それによく見ると欧米から来た方が多い。すこし海外で食事をしている雰囲気がする。
朝食は満足できる味で、いままで朝食を食べたインターコンチネンタル・ヒルトンなどに比べても段違いに美味しい。パンの種類も20種類はある。洋食好きな、わたしにとっては最高!!
紅茶を飲み終わっていたので、給仕が再び「いかがですか?」と聞いてきたが、2杯も飲むのは無分別だと思い「結構ですよぉ。ありごとうございます」と丁重に断った。
さて、美味しいものを食べ満足して食堂を出た。ここは最上階の4階から2階までくまなく東京駅の内部の散策をしてみる。今年は東京駅開業100周年だから念入りに調査してみる。
内側から楽しむ東京駅散策である。長い廊下に飾られた東京に関わる写真が楽しい。どれも博物館で見るような作品で実に愉快な気持ちになれる。
また駅の内部の作りも良く分る。また、数か所にはホテル宿泊者用の東京駅の歴史を展示したフロワーまである。こう言う点は宿泊して初めてわかる。また良い勉強にもなる。140円の入場券では解らない事である。
さて、チェックアウトは12:00である。それまで、昨日に頂いた、紅茶を入れて、スコーンを食べて、のんびりと部屋で静かに過ごす。静かにすると3番線の京浜東北線が入線してくる音が聞こえる。
窓の柵の奥は東京駅3番線京浜東北線の通勤客が、暗い顔して歩廊から働きに行こうとしているのだろう、わたくしはソファーを窓に寄せて紅茶を楽しむ。窓1枚を挟んで天国と地獄が同居している。
良い時間は直ぐ過ぎる、11:00にチェックアウトする為に部屋にベルボーイを呼んで荷物をフロントまで運ばせる。フロントの担当から「お楽しみになれましたか?」と問われたので、わたしは「とても十分に」とお答えした。
荷物をフロントから玄関まで運んでくれる。ステーションホテルのドアを出れば、わたしはいつもの貧乏人に逆戻りになることになる。
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